モヒョレポート 〜微生物考察〜

 【人と微生物の関係について、「微生物利用」と「微生物による被害」を考察する】

 まず、最初に微生物のことを考える上で、忘れてはいけない事は、「我々が現在の地球環境の中で生活を営むことができるのは、微生物の活動が長い時間をかけて新たな生命が生息できうる環境を作り出したおかげである」ということである。

 では、ヒトによる微生物利用とは何があげられるだろか?
 まず、最初にあげられるのは、ヒトと微生物の共生である。植物の祖先がシアノバクテリアと好気性細菌を祖先とする微生物と共生し共進化してきたことを考えると、ヒトと微生物の関係も生命の出現と共に進化してきたものと考えられる。この共生菌は主に体内で働き、人体が作り出せない酵素を出して消化を助けたり(エネルギー供給)、外部から侵入した病原菌の増殖を防止している(宿主の恒常性維持)。
 次にあげられるのは、微生物により有機物の分解過程で生じ、ヒトにとって都合のいい物質が形成される発酵である。発酵の型はいくつかに分けられ、おもだったものでは、アルコール発酵、乳酸発酵、酢酸発酵、アミノ酸発酵がある。
 次に、微生物が産生し、他の微生物の繁殖を抑制させる化学物質を薬として利用していることがあげられる(アオカビが産生するペニシリン等)。
 ヒトによる微生物の代表的な利用法としては上記3点があげられる。
 ,泙真佑犯生物が直接関わっている利用法ではないが、今後の利用拡大に注目したい利用法がある。それは微生物農薬である。農薬というと今の時代の中では出荷時における農薬残留濃度などにより悪いイメージを抱く人が少なくないが、微生物農薬は作物自体に残留し害敵から作物を守るのではなく、植物と良い微生物を共生させ悪い微生物を抑制させる方法である。この農薬は通常、使用回数に制限がなく、農薬を使用した回数にカウントもされない。代表的な例はバチルス菌(納豆菌)を利用する方法がある。

 では次に微生物による被害を考察する。
 まず最初に思いつくのが腐敗である。これは前述の発酵とは違い、微生物が食品をヒトが食べられないものに分解してしまうことをいう。
 次にあげられるのは感染症である。これには腐敗した食品や十分に調理されていない食品を直接摂取することによる食中毒(感染型と毒素型があり、経口伝染病も広義では食中毒にあたる)や、伝染病など空気中に浮遊する病原微生物を吸う空気感染、寄生性原虫を蚊が媒介する感染、ヒトが媒介者となる性行動による感染などがある。
 以上が微生物による代表的な被害である。
 また上記,任△欧臣輒椶靴燭ね用法の裏には「薬剤耐性菌」の出現があることを忘れてはならない。通常、薬剤耐性菌といえば感染症などにみられる病原菌だが、生息環境が競合する場合、優位性を保つために生物は進化をするものである。薬剤耐性菌の出現は医学的には問題であるが、微生物学的には当然ともいえる進化なのだ。
 現時点では生物農薬を分解する酵素を持った微生物や、生育を抑制させる化学物質を作り出せる微生物の出現はないが、今後、優位性を持った菌の出現を抑えることは難しいだろうと予測できる。

 以上のことを考えると、微生物は自分の生息環境において同じような環境を好む他の微生物を抑えこむために「ある物質を分解し、新たな物質を作り出す」働きをしていることが理解できる。微生物は誕生以来、我々を含む動植物などの多細胞生物と共生し、利用し、利用され、自らが活動できる環境を変化させ、進化してきたのである。ヒトの都合によりイメージとして良い微生物、悪い微生物と分けて評価されるが、これまでに述べてきたことを踏まえて考えてみると、善悪の区別ありきで微生物を考察すべきでは無いものと思う。少なくとも我々ヒトが生活を営む上では微生物の存在は無くてはならないものなのである。現代の社会をみると、「殺菌」や「除菌」という言葉が過剰に使われているが、それは人のもつ能力(免疫力)の低下を意味するものである。仮に微生物にとって我々が無くても構わない存在であった場合、微生物の生存サイクルの速さを踏まえて考えると、より攻撃的な進化をすることだろう。

 また、現時点では利用であるか被害であるかの区別ができないものがある。
 それは、微生物の研究から端を発した遺伝子組み換えである。現状では利用した際のメリットが強調されているようにみえるが、それは儲けを生み出すための戦略でしかないように思えるのである。これまでの生物の進化を考えると「利用」が「被害」に変わる世代が訪れるものと考えることができる。これもまた注視しておくべきことである。

【専門家によるこのレポートに対する評価】

 微生物の実態をよく理解していらっしゃることが解る良いレポートです。多剤耐性菌や遺伝子組換えに関わる潜在的な危険性の問題など、今後注目していってください。これまで得られている学問の成果だけでは想定できないことが起こる可能性があるからです。また今回名古屋で行われた生物多様性に関する国際会議に関しても、今後大切なことが含まれています。


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

カレンダー

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>

ホームページ

最近の記事

リンク

カテゴリー

月刊記事

コメント

プロフィール

others