モヒョレポート 〜土壌考察〜

新しくカテゴリーを増やしました。

「モヒョ的暮らし」は今のところ2人でアイディアを出し合い、
周りの人に助けられながら実践しています。

ひょうたんを含む生活に有用な植物を自分たちなりに栽培しているのですが、
それは生活の糧となるためにやっている訳ではなく、あくまでも趣味の範囲に留まっています。
本業はまたそれぞれ別のところ。

その本業の一つは農と密接に関わり合っている仕事をしています。
そういう仕事柄もあって趣味で実践している事とを勘案して色々なことを考えなくてはなりません。これも2人で意見を出しあって考えます。

このカテゴリーではそうやってまとまった考えをレポート風にまとめ記載したいと思います。

ではどうぞ。長いです。

Y.

 【自然生態系と耕地生態系の違いと、耕地生態系を健康に保つための条件】

 新しくできた大地に根付き、芽吹いてくる草木をPioneerという。
 植物達は動物とは違い、無機物の窒素やリン、カリなどを主養分とし、有機物の体を作り上げる。生命活動を終えた有機物は微生物たちが生きていくうえで必要な力の源となり、分解して無機物にし、植物への養分としてお返しする。土壌は地球の生態系の成立と発展の当初から、必須の構成要素として生物生産を可能とすると共に、生物との共役によって円滑な物質循環をつかさどってきた。
 葉や実を落とし、たとえ寿命がきて倒木となっても分解され、そこを豊かな土地に変えていく。こうしたまさに「草分け的」な時代の「先駆者」の存在があったからこそ、今の繁栄があるのである。自然生態系とはこういった生産力の永続性を保ちつつ、尚且つ、長い時間をかけて以前よりも生産力を高めることができる能力を持つものだと理解している。

 では耕地生態系ではどうなるのか。安定した食料を確保する為に始まった人による耕すという行為は、現代の農業に見られるような環境を著しく破壊するようなものではなく、その当初には周囲の環境と共存した形に近かかったものと想像する。農耕民として定住が可能となる土壌に合った作物が栽培されていたのだ。在来種に見られる遺伝的多様性が様々な環境変化に耐え、生き延びてきたことを考えると、多少の増減はあったにせよ、多くを望まなければそれなりの暮らしは可能であったと考えられる。このことから自然生態系を耕地化した当初は極めて有効な環境低負荷型の(自然生態系に近い)農法で作物を栽培していたはずである。焼畑に代表される循環型農法では、何年か待てば地力は回復するのである。
これが近代農業になると「緑の革命」に代表される「高収量品種は灌水・農薬・肥料が適切に施された場合、在来種より多収となる」という考えにより、環境に低負荷である循環型農地であった土地が改良されることになった。確かに収量は増大し、飢餓に苦しむ人が減少した点を上げれば改良といえるが、多収だけを目的とした交配を繰り返しているため遺伝的多様性は失われ、そのため新たな病虫害が多発し、塩類集積なども発生する結果となった。さらに高収量であるがために市場価格が暴落するという悪循環をも招いてしまった。この点をみれば改悪されたといえるのではないだろうか。特に農薬や肥料などの化学物質を使用することによる土壌汚染は深刻なものがある。安定した収量を得るためには化学物質を使い続けなくてはいけないのだ。
 この近代農業の考え方は資本主義を前提とした善意によるものが始まりだと思うが、近代農業に反対する有機栽培を志す人にとっては、悪意に近い感情を持っていることがある。確かに環境破壊、遺伝的多様性の消失、市場価格の暴落など反対に値する正当性はあるが、自分の考えでは悪ではないという立場である。それはやはり近代農業の欠点を反省材料として有機栽培が見直されており、自然農法や、パーマカルチャーなどの環境に低負荷型である循環型農法を実践している人が増えてきている事や、世界的にみれば人口はまだまだ増加傾向にあり、その人口増加分の食料を賄うために、全ての食料を環境循環型の中で生産できるはずはない。という考えがあるからである。

 では、耕地生態系を健康に保ちつつ、収量をあげるにはどうしたらいいのか考察してみる。
 第一に、その土地に合った在来種を探し出すことが重要である。在来種が無い作物であればいわゆる原種に近いタネを入手すべきである。これはこれまでに述べていた通り、原種に近いとされる在来種には遺伝的多様性を持っているものが少なくないからである。遺伝的多様性を持つタネとは、環境変化に耐えうる変異性の高い遺伝子を持つタネといえる。このタネを数世代繰り返し栽培してその土地に適応させる。この基本を第一にあげる。守られて人工交配させられた植物のタネとは違い、病虫は常に野生交配なのである。農薬を使用すれば必ず耐性を持った病虫が出現することからこれは明らかである。
 次にアウトプット(結実)を補う為に土壌に適したインプットは必ず必要であることをあげる。このインプットをできるだけ植物由来や動物由来である有機質のものにすることが重要であると考える。主要栄養素であれば、特に窒素の供給にはマメ科植物の作付が最適である。リン酸の供給には家畜の糞が最適ではあるが、ストレスのかかる畜舎で育てられた家畜の糞はなるべく施肥すべきではない。なぜならそういったところで育てられている家畜の飼料には、少なからず化学物質が混入しているからである。鶏であればなおのこと、あの小さな体に全ての化学物質を蓄積できるはずがないだろう。カリ成分の供給には草木灰を利用することが最も適しているが、この草木灰の中には重量の5%程度しかカリ成分が含まれていないことを考えると、植物の生長に利用された成分をできるだけ戻すという意味で、葉や茎を堆肥化して施肥することが最良の方法である。化成肥料は気候条件に合わせて補助的に利用することを前提と考え、いわゆる「例年並」という気候条件下ではできるだけ利用は控えることが望ましいと考える。これは人間が疲れた時に飲む栄養ドリンクのような利用である。
 次に自然生態系での動植物の多様性が病虫害の低減に繋がっていることを考えると、1つの作物や、近似種を同じエリアに多量に植えるのではなく、一方または双方に生育が良くなる・病虫害が減るなどの効果が現れる作物を混植させることが重要と考える(コンパニオンプランツ)。似たような方法ではバンカープランツ(本命の作物を守るための囮)がある。これもまた化学物質である農薬をなるべく使わない方法である。
 上記の方法等により化学物質をできるだけ土壌に含ませずに、動植物が由来の有機質を投入することが土壌を健康に保つ上で欠かせないことであると考える。
 また可能であれば輪作をし、必要であれば休ませ、土壌の流失を避けるために裸地化を避けることも土壌を健康に保つ上では欠かせないことである。
 以上、テーマに沿って自分の考えを述べてきたが、土壌とは様々な機能を持ち合わせた環境資源であることが理解できる。資源とは使い方を誤ると環境を悪化させてしまうものなのである。

 
【専門家によるこのレポートに対する評価】

いろいろ勉強していることがわかるレポートです。レポートに加筆添削する必要はありません。良いレポートです。
 お仕事にも関連しているのか、教科書的な模範論文で終わっていない点も好ましい。
 
 人口増が続いている世界の現状、そして環境保全型農業の推進を歓迎する現代の国民感情などを冷静に見つめ、バランスの良い考え方をしています。

 原種に近い種子を集めているようですが、生物的多様性の問題とともに、冷害や旱害を避ける、あるいはその被害を低減する方法は、最も単純であるが、多品種の栽培を同時にすることであることも理解したい。経営効率としては無駄と考えられるかもしれないが、現在の異常気象の頻発を考えると大事な措置と考えます。

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