駒ヶ根シンパシー

 先日、埼玉県のとあるホームセンターで実演販売をしていた時のことです。

薬研で岩塩、胡椒の実、タイム(ハーブ)、スライスした乾燥ガーリック、赤トウガラシを調合して特製スパイスを作ってお客さんに舐めさせていたのですが、「おいしい!」とか「肉料理に合う!」とかの反応が続く中、ひと際変わった反応を示すお客さんがいたのです。

「この岩塩はどこの?」
「はて?なぜあなたはそこに食いつくの?」と思いながらも
「ヒマラヤ岩塩です」と答えたのです。

「ピンクだからな。そうだな。」
ブクブク。このお客さんへ好奇心が湧いてきました。

聞くところによると東京で骨董屋さんをやっているそうな。
思った通り、大好きな人種です。
骨董収集家の人は本当に幅広く凄い知識を持っている。それが日本の古美術のことだけならまだしも、ほとんどの人が海外の古美術やその他の事情にも精通しているから凄い。まあそれが生活に直結してくる訳だからそうならざるを得ないのでしょうけど。こちらもそれなりに海外ネタは精通しているつもりなので、色々な引き出しを開けて会話を試みます。

その中の一つが駒ヶ根へ通じました。

「なぜ埼玉県へお買い物を?」
「ここは色々揃ってるからね」
「何かご自分で作られてるんですか?」
「知り合いの大工にアパート作ってもらってるの。もう引退しようと思って倉庫を改造してる訳。材料は自分でここから仕入てるんだよ。その方が安いからね」
「えっ!引退されるんですか?なんか勿体ないですね」

「うーん。まあね。あれ?こっちはきな粉?」
「そうです。挽きたてだからおいしいですよ」
隣で手動式製粉機も実演してたのです。


一応仕事中なもんで、
「他にも、お米とかお茶、昆布、椎茸、ソバ、煮干しも粉にできますよ」
「ソバね。うちの蔵にいっぱいあるんだよ」
「へえー。都内で蔵を持ってるって凄くないですか」
「いや違う違う。長野にさ、今は誰も住んでない生家があるんだよ。そこの蔵」
「長野?えっ、長野のどこですか?」
「伊那市だよ」
「伊那!あの、私、その、隣町の駒ヶ根の古民家を手に入れたんです」
「駒ヶ根?駒ヶ根のどこ?」
「中沢です」
「中沢のどこ?」
「戸倉山のキャンプ場の近くです」
「中沢に大工いるの知ってるか?」
「うーん。名前は忘れましたけど、駒ヶ根のクラフトフェアを主催してるところは知ってます」
「それだ!それが知り合いだ」
「おおーっ!面白いですね!そのクラフトフェアに今年の9月、私、出店してたんですよ」
「出店してた?俺もいたけどこんな道具売ってるところなかったぞ」
「あっ、イヤ。今日はサラリーマンの本業で、その時は副業のひょうたんランプ売ってました」
「あっ!見た!」
「たぶんそれです!いや絶対それです!」
「面白いなー」
「狭い世間ですねー」

こんな感じの出会いがあったのです。

今回のように、たまたま価値観が近い人との出会いがあって、お互いが共鳴し合うように次々と共通点が湧いて出てきて、思いのある土地へ辿り着くことがあります。僕らは「呼ばれてる」と表現する形容詞。

体験した本人同士じゃないと伝わり難いかも知れませんが、とても幸福な気持ちになるのです。

求めて他者と関わり合う。
表現を通して他人と触れ合う事の大切さ。
こんな出会いがあるとこういう生活がやめられなくなります。


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