モヒョレポート 〜土壌考察〜 

 火山灰土壌(黒ボク土壌)の性状の特徴と、非火山灰土壌の性状を比較】


 通常であればなかなか作物が育たないといわれている黒ボク土壌が、なぜ最高位に位置づけられているのかを考察してみる。

  
 まず黒ボク土壌ができるためには、ヽ莢仍海ありその活火山が噴火した際にでる火山灰が、雨が降っても流れにくい平坦地に貯まる地形条件と、雨が多く湿度が高い日本の気候が、水との化学的風化を受けやすい火山灰の特徴にうまく適合したという気候条件と、I化により開放されたアルミニウムが、植物遺体の分解過程でできる腐植と結合し、大量に土壌中に貯めることができた化学的条件が必要である。

  
 次に、黒ボク土壌の性質は上記の通り多量の有機物を貯めているので、団粒構造は安定した発達をしており、通気性も保水性もよい性質となっている。このことは非火山性土壌の仮比重がおおよそ1.3程度あるのに対し、火山灰土壌である黒ボク土の仮比重が0.8程度しかないことからも明らかである。(仮比重とは多孔質を持つ物質の密度を表す値であり、土壌の場合では団粒構造により形成される孔隙の状態を表す一つの指標である。)
 また、黒ボク土壌の表土においては∪言される気候条件においても明らかな通り、加水分解を受けて壊れる際に開放された塩基性陽イオンがいち早く水に流されてしまい、腐植のカルボン酸などの負の荷電が中和されずに強酸性を示すこととなる。
 また、火山灰に含まれるアロフェンやイモゴライトなどの粘土鉱物はpHに依存した特異荷電を示す代表的な鉱物であり、酸性土壌では正荷電を示す性質からリン酸を強く吸着してしまう作用を持つ。また、この鉱物は酸性による正荷電がなくても、鉱物の表面に多い水酸イオンをリン酸イオンに置き換えてしまう配位子置換によって、リン酸の特異吸着を起こすことが知られている。こうした鉱物が吸着したリン酸は容易に離れなくなるために、土壌中に固定されてしまったと考えられる。さらに腐植に富む黒ボク土壌の特徴である3放されたアルミニウムが腐植と結合する理由と同じようにリン酸とも結合する。
 最初にあげた「作物がなかなか育たない」といわれている理由がここにあり、黒ボク土はリン酸を大量に吸着、固定し植物に対する有効性を失わせてしまうのである。
 このことが黒ボク土壌の主な性質である。

 
 次に非火山性土壌である赤黄色土の性質は、丘陵や段丘上に多く見られ、一般的に地形の安定した台地の上にあることから、…垢せ間をかけて風化や加水分解を受けており、その色が示すとおり鉄分を多く含んでおり、黒ボク土と比べ腐植含量が少なく、団粒構造があまり発達しておらず保水・排水の物理性が悪い。このことは粘土分が多く物理的な性質上、土壌侵食への抵抗が弱いと考えられる。また、,砲△欧人話Δ砲茲蠻甘攅枴によって保持されている交換性塩基が少ないため塩基の溶脱を強く受け強酸性土壌である。黒ボク土壌が腐植質酸性土壌と呼ばれていたのに対し、赤黄色土は鉱質酸性土壌と呼ばれていた(鉱質とは、腐植質のもつ有機質という意味に対して、無機質という意味である)。

  
 では、なぜ黒ボク土壌が最高位に位置づけられているのか。それは上記にあげた黒ボク土壌の化学的な性質における大きな問題点は、日本経済が高度成長期に入り、酸性を矯正する石灰や、土壌改良材としてのリン酸を容易かつ多量に黒ボク土壌へ投入することによって克服できたからである。これは資源多消費型の農業の中で始めて可能となった、黒ボク土壌の長所を引き出すことができた成功例である。つまり人が手を加えてはじめて農業に適した土壌となったのである。
 つまり化学的性質を克服することができたならば、「保水性、通気性の物理的な性質において優良である土壌」が最高位になったのである。


【専門家によるこのレポートに対する評価】

 土壌で最も肝要なのは、障害性がないことですが、つぎには土壌物理性になります。物理性は永年の風化・土壌化の結果であり、人工的に改善を試みてもなかなかうまくいきません。それに比べ、化学性は学問の進歩により多様な改善方法が可能となりました。黒ボク土の改善はその成果の一つです。

 日本土壌の特徴の代表例です。畑の半分を占める黒ボク土ですので、理解を深めることが大事です。


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