人間活動による水質汚染と自然環境中で生じる水質変化との違い

水環境について書いていたレポートです。
ここへきて放射性物質を分解する微生物が存在することを知りました。
http://takashima.tidt.fool.jp/
   →かなり胡散くさいんですけど・・・。(M.)
水俣病で水銀を分解する微生物の存在までは辿りつきましたが、
まさか微生物がセシウム137まで分解するなんて思わなかった。
ちょっと感動です。

考えてみれば、原始地球には放射性物質はたくさんあって、
それに適応できる微生物が存在するのでは?と思って調べたらあった。

微生物すごすぎです。
まあちょっと冷静になって、あとで詳しく調べたいと思います。


ではどうぞ。


 まず人間活動による水質の汚染には、耕作地での過剰施肥や農薬の使用、家畜の排泄物などの農業を起因とするもの。屎尿や家庭からの生活排水を起因とするもの。高度成長期に問題となった公害を引き起こした工業を起因とするもの。人口過密により地表面が建物やアスファルトなどで被覆され,雨水浸透が減少しより低いところへ集中してしまう都市化に起因するもの。森林伐採による土砂の流失や湧水枯渇などの環境破壊を起因とするものがあげられる。上記にあげた人間活動による水質の汚染を分類すると、「A有機物によるもの」、「B無機物によるもの」、「C毒物によるもの」、「D濁水によるもの」に分けることができる。

 まず「A有機物による水質汚染」では、過剰な有機物を微生物が酸化分解するため溶存酸素濃度が減少し、好気性水生生物が酸欠により生存できなくなる状態からはじまり、嫌気性微生物が繁殖して好気性生物にとって有毒である硫化水素などを生成する汚染へとつながる。

 次に「B無機物による水質汚染」では、大量の栄養素が流入することに起因する植物性プランクトンの繁殖からはじまり、それを捕食する動物性プランクトンの増殖、そしてその動物性プランクトンが死滅し、沈降後に酸化分解し、「A有機物による水質汚染」であげた嫌気性微生物の繁殖へ繋がる汚染となる。この無機物の流入による水質の汚染は植物性プランクトンの光合成による一次生産は増えるが、結果としては生態系における生物の構成を変化させ、生物の多様性を減少させる方向に作用してしまう。

 「C毒物による水質汚染」では、生物濃縮により毒物が高次消費者へ高濃度に蓄積され表面化する水質汚染である。生物濃縮とは特定の物質が生物の体内に蓄積し濃度が増し、食物連鎖を経てより上位の生物に濃縮される現象である。

 「D濁水による水質汚染」では、大量の土砂や粘土粒子が水中に分散し、沈降する際に底生生物を物理的に被い水草などの光合成を妨げ、場合によっては魚類のエラを閉塞させへい死させる汚染である。

 上記であげた人間活動による水質の汚染は、言い換えれば人工的に環境を変化させてしまうことであり、水環境中で暮らす生命を危険に晒し、陸上生物を含めた生態系すらも崩していく原因となりうるのである。

 この考えを元に、自然環境中で時間の経過と共に生じる水質変化との違いを考えると、一番の大きな違いは、変化のスピードである。人口増や急激な経済発展などの人間活動による水質の汚染は、自然環境中による水質変化と比べてはるかに早い。
 また次に考えられるのは、生物群集の差である。自然環境中の水質変化では、例えば火山活動や地殻変動などで生じた湖沼から始まる遷移を考えると、貧栄養湖→富栄養湖→湿地→草原→森林へと環境が変化するが、生物群集はある一定のレベルでゆるやかに向上していき多様性が失われることはない。人による汚染が急激に増え自然環境による自浄作用を大きく上回る場合は生物群集の多様性は失われ、酸素を必要としない嫌気性微生物が増殖する。(嫌気性微生物を悪い微生物だと解釈しないように付け加えると、嫌気性微生物は光合成により酸素を作り出すことに成功し、地球に多様な生命が繁栄する切掛けをもたらしたのである。酸素が存在しない原始地球環境中ではまさに草分け的存在ともいえる。)嫌気性微生物の増殖は言い換えれば「原始地球環境への回帰」と考えることができる。環境が汚染されてもリセットできるシステムが備わっているのではないだろうか。好気性生物にとっては生存することが難しいが、実際は汚染された環境を元に戻そうとする究極の自浄作用が嫌気性微生物の増殖なのである。

 以上のことから考えると、自然環境中に起る変化とは、生命の生産力の永続性を保ちつつ、尚且つ、長い時間をかけて以前よりも生産力を高めることができる能力を持つものだと理解でき、人間活動による汚染とは生命の生産力を低下させてしまう能力を持つものだと理解できる。
 これら地球がおかれた環境をよく考えると、人間の活動には「後始末より未然防止」の考え方を基本として行動しなければならないという結論に達した。


メモ
人間活動による水質の汚染について
レポートを書き進めている途中で、1つのニュースをとても興味深く感じていました。絶滅されたとされるクニマスが発見されたことです。自分の時勢にぴったりと合ったことだったので詳しく知ることができました。
「食料増産と経済発展が最優先された時代。反対の声(酸性の水の導水に)はかき消されたのだろう」
「田沢湖のクニマスが絶滅したのは事実。いわば国内産外来種だ。」
というクニマスを研究されてきた2人の声が印象的です。

非常によく整理して書かれたレポートです。水質汚染に関して原因を分けてある点良いと思います。クニマスについて書かれていますが、自然はヒトが考えている以上にしたたかなのかも知れません。


多様性という名の防衛

東北関東大震災。
茨城南部でも相当な揺れだったものの、ひょうたんが割れることもなく、人も猫も無事でした。
家にひび入ったけど・・・。

私たちの家は地震直後の断水と停電も一晩だけで済んだのですが、
近隣の市では翌週の半ばまで断水が続いていたり、
沿岸部では今もまだ不自由な暮らしだったり、
もちろん仙台や岩手などではもっとずっと深刻な状況が続いているわけで、
ライフラインについていろいろ考えさせられています。

平常時の便利さとか効率性 というのと、
非常時のセーフティネット というのは、
実は矛盾するものなのかも。

生物の世界でも、効率性万一の安全は時に相対立するものです。
例えばアリマキは、気候の安定している時期はメスしか存在せず、
彼女らはひたすら自分のクローンを作り続けて仲間をあっという間に増やしていきます。
確かに、効率的な繁殖にはオスは不要ですからね・・・。
クローンなら相手を見つける手間すらないわけで。
しかしそんなアリマキたちも、冬が近づいて環境が厳しくなってくると、
突然オスを生み、オスとメスの異種交配が行われます。
こうすることで、遺伝子がいろいろに混じり合ってちょっとずつ違ういろんなバリエーションを作り(クローンの場合は母と娘は遺伝的に同じ)、
急な環境変化などに対する保険とするわけです。
条件がいい時期はメスだけでひたすら効率性を追求し、
条件が悪くなる可能性がある時は、オスという一種の「手間」をかけても多様性(=安全)を追求するという戦略なのです。

翻ってライフラインの話ですが、都市ガスとか、オール電化マンションとか、
普段なら手間もコストも抑えられて便利でいいのかもしれませんが、
いざ非常時となると、逆に何ひとつ動かなくて困ったりするんですよね。
まあ、オール電化バンザイ!なんて言ってる人は、オス不要説を唱えてるのと同じだと思った方がいいかも・・・。

ちなみに駒ヶ根のモヒョ家は、現在井戸水と山の水の2本が引かれていて
これを上水道に替えるかどうか迷っていたのですが、
この際、上水道+井戸水+山の水 の3本立てを維持するのが1番安心のような気もします。

手間や無駄、そしてそれにより生み出される多様性って大事なんですね。


モヒョレポート 〜土壌考察〜 

 火山灰土壌(黒ボク土壌)の性状の特徴と、非火山灰土壌の性状を比較】


 通常であればなかなか作物が育たないといわれている黒ボク土壌が、なぜ最高位に位置づけられているのかを考察してみる。

  
 まず黒ボク土壌ができるためには、ヽ莢仍海ありその活火山が噴火した際にでる火山灰が、雨が降っても流れにくい平坦地に貯まる地形条件と、雨が多く湿度が高い日本の気候が、水との化学的風化を受けやすい火山灰の特徴にうまく適合したという気候条件と、I化により開放されたアルミニウムが、植物遺体の分解過程でできる腐植と結合し、大量に土壌中に貯めることができた化学的条件が必要である。

  
 次に、黒ボク土壌の性質は上記の通り多量の有機物を貯めているので、団粒構造は安定した発達をしており、通気性も保水性もよい性質となっている。このことは非火山性土壌の仮比重がおおよそ1.3程度あるのに対し、火山灰土壌である黒ボク土の仮比重が0.8程度しかないことからも明らかである。(仮比重とは多孔質を持つ物質の密度を表す値であり、土壌の場合では団粒構造により形成される孔隙の状態を表す一つの指標である。)
 また、黒ボク土壌の表土においては∪言される気候条件においても明らかな通り、加水分解を受けて壊れる際に開放された塩基性陽イオンがいち早く水に流されてしまい、腐植のカルボン酸などの負の荷電が中和されずに強酸性を示すこととなる。
 また、火山灰に含まれるアロフェンやイモゴライトなどの粘土鉱物はpHに依存した特異荷電を示す代表的な鉱物であり、酸性土壌では正荷電を示す性質からリン酸を強く吸着してしまう作用を持つ。また、この鉱物は酸性による正荷電がなくても、鉱物の表面に多い水酸イオンをリン酸イオンに置き換えてしまう配位子置換によって、リン酸の特異吸着を起こすことが知られている。こうした鉱物が吸着したリン酸は容易に離れなくなるために、土壌中に固定されてしまったと考えられる。さらに腐植に富む黒ボク土壌の特徴である3放されたアルミニウムが腐植と結合する理由と同じようにリン酸とも結合する。
 最初にあげた「作物がなかなか育たない」といわれている理由がここにあり、黒ボク土はリン酸を大量に吸着、固定し植物に対する有効性を失わせてしまうのである。
 このことが黒ボク土壌の主な性質である。

 
 次に非火山性土壌である赤黄色土の性質は、丘陵や段丘上に多く見られ、一般的に地形の安定した台地の上にあることから、…垢せ間をかけて風化や加水分解を受けており、その色が示すとおり鉄分を多く含んでおり、黒ボク土と比べ腐植含量が少なく、団粒構造があまり発達しておらず保水・排水の物理性が悪い。このことは粘土分が多く物理的な性質上、土壌侵食への抵抗が弱いと考えられる。また、,砲△欧人話Δ砲茲蠻甘攅枴によって保持されている交換性塩基が少ないため塩基の溶脱を強く受け強酸性土壌である。黒ボク土壌が腐植質酸性土壌と呼ばれていたのに対し、赤黄色土は鉱質酸性土壌と呼ばれていた(鉱質とは、腐植質のもつ有機質という意味に対して、無機質という意味である)。

  
 では、なぜ黒ボク土壌が最高位に位置づけられているのか。それは上記にあげた黒ボク土壌の化学的な性質における大きな問題点は、日本経済が高度成長期に入り、酸性を矯正する石灰や、土壌改良材としてのリン酸を容易かつ多量に黒ボク土壌へ投入することによって克服できたからである。これは資源多消費型の農業の中で始めて可能となった、黒ボク土壌の長所を引き出すことができた成功例である。つまり人が手を加えてはじめて農業に適した土壌となったのである。
 つまり化学的性質を克服することができたならば、「保水性、通気性の物理的な性質において優良である土壌」が最高位になったのである。


【専門家によるこのレポートに対する評価】

 土壌で最も肝要なのは、障害性がないことですが、つぎには土壌物理性になります。物理性は永年の風化・土壌化の結果であり、人工的に改善を試みてもなかなかうまくいきません。それに比べ、化学性は学問の進歩により多様な改善方法が可能となりました。黒ボク土の改善はその成果の一つです。

 日本土壌の特徴の代表例です。畑の半分を占める黒ボク土ですので、理解を深めることが大事です。


モヒョレポート 〜微生物考察〜

 【人と微生物の関係について、「微生物利用」と「微生物による被害」を考察する】

 まず、最初に微生物のことを考える上で、忘れてはいけない事は、「我々が現在の地球環境の中で生活を営むことができるのは、微生物の活動が長い時間をかけて新たな生命が生息できうる環境を作り出したおかげである」ということである。

 では、ヒトによる微生物利用とは何があげられるだろか?
 まず、最初にあげられるのは、ヒトと微生物の共生である。植物の祖先がシアノバクテリアと好気性細菌を祖先とする微生物と共生し共進化してきたことを考えると、ヒトと微生物の関係も生命の出現と共に進化してきたものと考えられる。この共生菌は主に体内で働き、人体が作り出せない酵素を出して消化を助けたり(エネルギー供給)、外部から侵入した病原菌の増殖を防止している(宿主の恒常性維持)。
 次にあげられるのは、微生物により有機物の分解過程で生じ、ヒトにとって都合のいい物質が形成される発酵である。発酵の型はいくつかに分けられ、おもだったものでは、アルコール発酵、乳酸発酵、酢酸発酵、アミノ酸発酵がある。
 次に、微生物が産生し、他の微生物の繁殖を抑制させる化学物質を薬として利用していることがあげられる(アオカビが産生するペニシリン等)。
 ヒトによる微生物の代表的な利用法としては上記3点があげられる。
 ,泙真佑犯生物が直接関わっている利用法ではないが、今後の利用拡大に注目したい利用法がある。それは微生物農薬である。農薬というと今の時代の中では出荷時における農薬残留濃度などにより悪いイメージを抱く人が少なくないが、微生物農薬は作物自体に残留し害敵から作物を守るのではなく、植物と良い微生物を共生させ悪い微生物を抑制させる方法である。この農薬は通常、使用回数に制限がなく、農薬を使用した回数にカウントもされない。代表的な例はバチルス菌(納豆菌)を利用する方法がある。

 では次に微生物による被害を考察する。
 まず最初に思いつくのが腐敗である。これは前述の発酵とは違い、微生物が食品をヒトが食べられないものに分解してしまうことをいう。
 次にあげられるのは感染症である。これには腐敗した食品や十分に調理されていない食品を直接摂取することによる食中毒(感染型と毒素型があり、経口伝染病も広義では食中毒にあたる)や、伝染病など空気中に浮遊する病原微生物を吸う空気感染、寄生性原虫を蚊が媒介する感染、ヒトが媒介者となる性行動による感染などがある。
 以上が微生物による代表的な被害である。
 また上記,任△欧臣輒椶靴燭ね用法の裏には「薬剤耐性菌」の出現があることを忘れてはならない。通常、薬剤耐性菌といえば感染症などにみられる病原菌だが、生息環境が競合する場合、優位性を保つために生物は進化をするものである。薬剤耐性菌の出現は医学的には問題であるが、微生物学的には当然ともいえる進化なのだ。
 現時点では生物農薬を分解する酵素を持った微生物や、生育を抑制させる化学物質を作り出せる微生物の出現はないが、今後、優位性を持った菌の出現を抑えることは難しいだろうと予測できる。

 以上のことを考えると、微生物は自分の生息環境において同じような環境を好む他の微生物を抑えこむために「ある物質を分解し、新たな物質を作り出す」働きをしていることが理解できる。微生物は誕生以来、我々を含む動植物などの多細胞生物と共生し、利用し、利用され、自らが活動できる環境を変化させ、進化してきたのである。ヒトの都合によりイメージとして良い微生物、悪い微生物と分けて評価されるが、これまでに述べてきたことを踏まえて考えてみると、善悪の区別ありきで微生物を考察すべきでは無いものと思う。少なくとも我々ヒトが生活を営む上では微生物の存在は無くてはならないものなのである。現代の社会をみると、「殺菌」や「除菌」という言葉が過剰に使われているが、それは人のもつ能力(免疫力)の低下を意味するものである。仮に微生物にとって我々が無くても構わない存在であった場合、微生物の生存サイクルの速さを踏まえて考えると、より攻撃的な進化をすることだろう。

 また、現時点では利用であるか被害であるかの区別ができないものがある。
 それは、微生物の研究から端を発した遺伝子組み換えである。現状では利用した際のメリットが強調されているようにみえるが、それは儲けを生み出すための戦略でしかないように思えるのである。これまでの生物の進化を考えると「利用」が「被害」に変わる世代が訪れるものと考えることができる。これもまた注視しておくべきことである。

【専門家によるこのレポートに対する評価】

 微生物の実態をよく理解していらっしゃることが解る良いレポートです。多剤耐性菌や遺伝子組換えに関わる潜在的な危険性の問題など、今後注目していってください。これまで得られている学問の成果だけでは想定できないことが起こる可能性があるからです。また今回名古屋で行われた生物多様性に関する国際会議に関しても、今後大切なことが含まれています。


モヒョレポート 〜土壌考察〜

新しくカテゴリーを増やしました。

「モヒョ的暮らし」は今のところ2人でアイディアを出し合い、
周りの人に助けられながら実践しています。

ひょうたんを含む生活に有用な植物を自分たちなりに栽培しているのですが、
それは生活の糧となるためにやっている訳ではなく、あくまでも趣味の範囲に留まっています。
本業はまたそれぞれ別のところ。

その本業の一つは農と密接に関わり合っている仕事をしています。
そういう仕事柄もあって趣味で実践している事とを勘案して色々なことを考えなくてはなりません。これも2人で意見を出しあって考えます。

このカテゴリーではそうやってまとまった考えをレポート風にまとめ記載したいと思います。

ではどうぞ。長いです。

Y.

 【自然生態系と耕地生態系の違いと、耕地生態系を健康に保つための条件】

 新しくできた大地に根付き、芽吹いてくる草木をPioneerという。
 植物達は動物とは違い、無機物の窒素やリン、カリなどを主養分とし、有機物の体を作り上げる。生命活動を終えた有機物は微生物たちが生きていくうえで必要な力の源となり、分解して無機物にし、植物への養分としてお返しする。土壌は地球の生態系の成立と発展の当初から、必須の構成要素として生物生産を可能とすると共に、生物との共役によって円滑な物質循環をつかさどってきた。
 葉や実を落とし、たとえ寿命がきて倒木となっても分解され、そこを豊かな土地に変えていく。こうしたまさに「草分け的」な時代の「先駆者」の存在があったからこそ、今の繁栄があるのである。自然生態系とはこういった生産力の永続性を保ちつつ、尚且つ、長い時間をかけて以前よりも生産力を高めることができる能力を持つものだと理解している。

 では耕地生態系ではどうなるのか。安定した食料を確保する為に始まった人による耕すという行為は、現代の農業に見られるような環境を著しく破壊するようなものではなく、その当初には周囲の環境と共存した形に近かかったものと想像する。農耕民として定住が可能となる土壌に合った作物が栽培されていたのだ。在来種に見られる遺伝的多様性が様々な環境変化に耐え、生き延びてきたことを考えると、多少の増減はあったにせよ、多くを望まなければそれなりの暮らしは可能であったと考えられる。このことから自然生態系を耕地化した当初は極めて有効な環境低負荷型の(自然生態系に近い)農法で作物を栽培していたはずである。焼畑に代表される循環型農法では、何年か待てば地力は回復するのである。
これが近代農業になると「緑の革命」に代表される「高収量品種は灌水・農薬・肥料が適切に施された場合、在来種より多収となる」という考えにより、環境に低負荷である循環型農地であった土地が改良されることになった。確かに収量は増大し、飢餓に苦しむ人が減少した点を上げれば改良といえるが、多収だけを目的とした交配を繰り返しているため遺伝的多様性は失われ、そのため新たな病虫害が多発し、塩類集積なども発生する結果となった。さらに高収量であるがために市場価格が暴落するという悪循環をも招いてしまった。この点をみれば改悪されたといえるのではないだろうか。特に農薬や肥料などの化学物質を使用することによる土壌汚染は深刻なものがある。安定した収量を得るためには化学物質を使い続けなくてはいけないのだ。
 この近代農業の考え方は資本主義を前提とした善意によるものが始まりだと思うが、近代農業に反対する有機栽培を志す人にとっては、悪意に近い感情を持っていることがある。確かに環境破壊、遺伝的多様性の消失、市場価格の暴落など反対に値する正当性はあるが、自分の考えでは悪ではないという立場である。それはやはり近代農業の欠点を反省材料として有機栽培が見直されており、自然農法や、パーマカルチャーなどの環境に低負荷型である循環型農法を実践している人が増えてきている事や、世界的にみれば人口はまだまだ増加傾向にあり、その人口増加分の食料を賄うために、全ての食料を環境循環型の中で生産できるはずはない。という考えがあるからである。

 では、耕地生態系を健康に保ちつつ、収量をあげるにはどうしたらいいのか考察してみる。
 第一に、その土地に合った在来種を探し出すことが重要である。在来種が無い作物であればいわゆる原種に近いタネを入手すべきである。これはこれまでに述べていた通り、原種に近いとされる在来種には遺伝的多様性を持っているものが少なくないからである。遺伝的多様性を持つタネとは、環境変化に耐えうる変異性の高い遺伝子を持つタネといえる。このタネを数世代繰り返し栽培してその土地に適応させる。この基本を第一にあげる。守られて人工交配させられた植物のタネとは違い、病虫は常に野生交配なのである。農薬を使用すれば必ず耐性を持った病虫が出現することからこれは明らかである。
 次にアウトプット(結実)を補う為に土壌に適したインプットは必ず必要であることをあげる。このインプットをできるだけ植物由来や動物由来である有機質のものにすることが重要であると考える。主要栄養素であれば、特に窒素の供給にはマメ科植物の作付が最適である。リン酸の供給には家畜の糞が最適ではあるが、ストレスのかかる畜舎で育てられた家畜の糞はなるべく施肥すべきではない。なぜならそういったところで育てられている家畜の飼料には、少なからず化学物質が混入しているからである。鶏であればなおのこと、あの小さな体に全ての化学物質を蓄積できるはずがないだろう。カリ成分の供給には草木灰を利用することが最も適しているが、この草木灰の中には重量の5%程度しかカリ成分が含まれていないことを考えると、植物の生長に利用された成分をできるだけ戻すという意味で、葉や茎を堆肥化して施肥することが最良の方法である。化成肥料は気候条件に合わせて補助的に利用することを前提と考え、いわゆる「例年並」という気候条件下ではできるだけ利用は控えることが望ましいと考える。これは人間が疲れた時に飲む栄養ドリンクのような利用である。
 次に自然生態系での動植物の多様性が病虫害の低減に繋がっていることを考えると、1つの作物や、近似種を同じエリアに多量に植えるのではなく、一方または双方に生育が良くなる・病虫害が減るなどの効果が現れる作物を混植させることが重要と考える(コンパニオンプランツ)。似たような方法ではバンカープランツ(本命の作物を守るための囮)がある。これもまた化学物質である農薬をなるべく使わない方法である。
 上記の方法等により化学物質をできるだけ土壌に含ませずに、動植物が由来の有機質を投入することが土壌を健康に保つ上で欠かせないことであると考える。
 また可能であれば輪作をし、必要であれば休ませ、土壌の流失を避けるために裸地化を避けることも土壌を健康に保つ上では欠かせないことである。
 以上、テーマに沿って自分の考えを述べてきたが、土壌とは様々な機能を持ち合わせた環境資源であることが理解できる。資源とは使い方を誤ると環境を悪化させてしまうものなのである。

 
【専門家によるこのレポートに対する評価】

いろいろ勉強していることがわかるレポートです。レポートに加筆添削する必要はありません。良いレポートです。
 お仕事にも関連しているのか、教科書的な模範論文で終わっていない点も好ましい。
 
 人口増が続いている世界の現状、そして環境保全型農業の推進を歓迎する現代の国民感情などを冷静に見つめ、バランスの良い考え方をしています。

 原種に近い種子を集めているようですが、生物的多様性の問題とともに、冷害や旱害を避ける、あるいはその被害を低減する方法は、最も単純であるが、多品種の栽培を同時にすることであることも理解したい。経営効率としては無駄と考えられるかもしれないが、現在の異常気象の頻発を考えると大事な措置と考えます。

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